11がつ16にち、あさ5じごろ
びょういんからでんわがあった
「おかあさまが、いきをひきとられました」
かなしみよりもおどろきよりも
ほっとして? おちついて?
はぁ~。
そっかぁ。
にかいうなずいてから
みじたくをはじめて、びょういんにむかう
あさのつうきんじかんになるから
どうろはこみはじめ
おもったよりもじかんがかかった
びょういんにつくと、おとうとがさきについていた。
「おれがついたときは、まだあったかかったんだよ」
もうつめたくなっていたかおにふれてみる
ねているようにしかみえないが…
「よるねたら、あさがこなければいいのに」
ははのくちぐせだった。
よかったじゃん。ねがいどおりで。
「とうちゃん。なんではやくむかえにきてくれないんだよ」
そうもいってたっけ。
よかったじゃん。むかえにきてさ。
ちちは9ねんまえにさきにいった。
またいっしょにいるのかな。
20ねんまえに、ガンにかかり
5ねんまえに、にゅうガンがみつかり
ざいたくかいごをあきらめて、びょういんにはいったのが9がつ
ほうしゃせんも、こうガンざいもつかわず
いたみどめのモルヒネもつかわず
なにをおもってまいにちすごしていたのだろう
なにをおもっていきをひきとったのだろう
しごとのあいまに
いっしょにひるめしをたべにいったり
かいものにいったりしてたじゃん
ぐあいがわるくなって
いえからもでなくなって
にんちしょうになった、おばのかいごをして
じぶんのことはあとまわしにして
くるしそうにつらそうにしていて
やっとらくになれたんじゃないの
あたりまえだけどさ
ちょっとさみしいよね
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